岩綿吸音板は、建築物の内装材としてポピュラーな建材です。
戸建て住宅ではあまり使用されませんが、事務所、ビルや学校、病院、公共施設など、身近な建築物で使用されていない建築物はほとんどないといっても過言ではありません。
この記事では、岩綿吸音板の特徴や使用箇所、厚みの違いによる性能の違いについて解説します。
岩綿吸音板って何?
ところで、岩綿吸音板と聞いて、具体的に想像できる方はどれくらいいるでしょうか。
日常的に見ているはずですが、建築関係の仕事をしていない方には難しいかもしれません。
岩綿吸音板は、岩綿を成形して板状にしたものですが、これだけでは分かりませんね。
ここでは、次の内容について解説します。
● 岩綿って何?
● 石綿とは違うの?
● 石膏ボードとは違うの?
● 岩綿吸音板はどんな場所に使われる?
岩綿って何?
岩綿は、ロックウールとも呼ばれます。
岩綿は高炉スラグや玄武岩、そのほかの天然岩石を高温で溶かして、遠心力で吹き飛ばし繊維状にした鉱物繊維です。
ヨーロッパでは1880年代から使われ、日本では1938年に工業化されています。
原料のうち高炉スラグは、鉄を作る場合に発生する副産物です。
その副産物を有効利用してできているので、岩綿は環境にやさしい製品と言えます。
石綿とは違うの?
岩綿とよく似ているものとして石綿があります。
一文字しか違いませんが、全くの別物です。
石綿は繊維状の鉱物で、別名アスベストと呼ばれます。
石綿は空中に飛散しやすく、長期間大量に吸入すると健康被害を引き起こすとして現在は使用が禁止されています。
ただ、過去に製造された岩綿吸音板には石綿を含んでいるものもあるので、改修や解体時には注意が必要です。
石膏ボードとは違うの?
岩綿吸音板の原料は、岩綿(ロックウール)です。
ロックウール吸音板とも呼ばれます。
一方で石膏ボードの原料は、石膏(プラスター)です。
プラスターボードとも呼ばれます。
岩綿吸音板の表面には無数の穴が開いており、吸音性や断熱性があるのが、石膏ボードとの性能の違いです。
どちらも耐火性を有しますが、石膏ボードは主に壁の下地材として、岩綿吸音板は主に天井の仕上げ材として使用されます。
岩綿吸音板はどんな場所に使われる?
岩綿吸音板は指で押せば簡単に凹むくらい損傷しやすいので、人の手に触れるところには使用されません。
ですから岩綿吸音板は、主に天井の仕上げ材として使われます。
オフィスビルや商業施設、集合住宅など、用途を問わず使用されています。
岩綿吸音の厚みの種類|厚みの違いで何が変わる?
岩綿吸音板の厚みにはいくつかの種類があります。
ここでは、厚みの種類の紹介と、厚みの違いで何が変わるのか解説します。
岩綿吸音板の厚みの種類
岩綿吸音板でよく使われる厚さは、9mm、12mm、15mmの3種類です。
商品によっては19mmのものもあります。
岩綿吸音板は、天井の仕上げ材として人の目に付く場所に使用されますので、表面が平らなものから凸凹した意匠性の高いものまで多くの種類があり、凸凹がある場合でも、最も薄いところで9mm以上となっています。
厚みの違いで何が変わる?
岩綿吸音板の厚みの違いは、次の性能に影響があります。
● 断熱性
● 吸音性
岩綿吸音板は繊維を板状に成形したものなので、板の中に空気を含んでいます。
この空気が岩綿吸音板に断熱性をもたらしています。
空気をより多く含有できる方が断熱性は高いです。
よって、より厚い方が断熱性は高くなります。
吸音性は必ずしも厚ければ高くなるものではありません。
厚みの違いによって、吸音する音に違いが出ます。
一般的に薄い方が高周波数の音(高い音)の吸音性に優れ、厚い方が低周波数帯の音(低い音)の吸音性に優れます。
岩綿吸音板の製造メーカーと商品|特徴を紹介します
岩綿吸音板の製造メーカーは主に次の2社です。
● 吉野石膏
● 大建工業
吉野石膏の商品名はソーラトン、大建工業の商品名はダイロートンです。
ここでは、それぞれの商品にどのような特徴があるのか解説します。
ソーラトンの種類と特徴
日本で使われる岩綿吸音板で圧倒的なシェアを誇るのがソーラトンです。
ソーラトンは幅広い用途で使用可能なラインナップが揃えられています。
耐湿性が要求される次のような場所に対応した製品が用意されているのが強みです。
● エントランス付近
● 車寄せ
● 地下街
● 地下通路
色へのこだわりもソーラトンの特徴です。
白さにこだわる「ピュアホワイト」色を標準としています。
ダイロートンの種類と特徴
ダイロートンは、建築物の用途別に商品を用意しているのが特徴です。
岩綿吸音板がよく使用される次の用途について、商品を用意しています。
● 教育施設
● 病院
教育施設用の商品名はスクールトーンで、調湿機能が高められており、シックスクールの要因の一つといわれるホルムアルデヒドを吸着・分解する機能を備えています。
病院用の商品名はメディカルトーンで、消臭機能を備えているものです。
まとめ
岩綿吸音板の特徴と厚みによる性能の違いについて解説しました。
岩綿吸音板の厚みは、9mm、12mm、15mmが主に使われています。
岩綿吸音板の厚みの違いによって、断熱性や吸音性が変わり、断熱性は厚い方が高くなります。
吸音性は、薄い方が高音の吸音率が高く、低い方が低音の吸音率が高いです。
岩綿吸音板の利用を検討されている方は、その特徴と厚さによる性能の違いを理解すると適切な岩綿吸音板を選べるようになります。
ぜひ本記事の内容をお役立てください。