建材の中でもコストパフォーマンスが高く、使いやすい石膏。
しかしどんな場面で使うべきか悩んでしまう方も多いでしょう。
今回は石膏ボードの種類を事例とともに説明し、どんな場面でどんな種類を使えばいいかをご紹介します。
石膏ボードとは何か?素材と使い方について
石膏ボードとは石膏を紙で包んで、作業性をよくした板状の建築素材です。
石膏とは硫酸カルシウムを主成分とする物質です。
建材として利便性が高く、さまざまな建物の天井や内装材として利用されています。
建築材料以外にも、骨折したときの患部を安定させる「ギプス」や歯科治療での歯の型取り、美術品などで活躍しています。
サイズは横910mm×縦1,820mm×幅9.5mmが一般的。
プラスターボードってなに?「石膏プラスター」とは?
プラスターとは、鉱物質の粉末と水を練り合わせた塗り壁用材料を指します。プラスターボードは石膏に消化灰や粘着剤を混ぜて「石膏プラスター」となり、石膏ボードと区別しています。
しかし、いずれも石膏が主成分であり、建築現場では石膏ボードとプラスターボードは同じように取り扱われるようです。
石膏ボードを使うメリット
コストパフォーマンスが高いのが最大のメリットでしょう。
価格は同程度の合板とくらべて3分の1以下と低コスト!
しかも、カッターナイフで切断、ビス止め、接着などが容易でDIYも可能と作業性は高いのです。
また、石膏には約20%の水分が含まれており、火災の際には水分が少しずつ水蒸気になるため、温度上昇を遅らせ、断熱性と耐火性があります。
さらに、石膏と紙に分離もできるため、100%リサイクル可能な環境にやさしい建材でもあります。
石膏ボードを使うデメリット
点の力に弱く傷つきやすい。
強風・地震による揺れや多少の衝撃で破損しませんが、釘を打つなど点で衝撃を与えると崩れてしまいます。
また、石膏は硫酸カルシウム等の鉱物が原材料であり、勝手に処分すると有害物である硫化水素ガスを発生させる危険性もあります。
石膏ボードの処分は産業廃棄物と指定され、必ず「産業廃棄物処分許可」を取得しているプロの業者に処分を依頼してください。この際、業者に払う処分費が発生する点は留意してください。
石膏ボードの種類ごとの使用例
石膏ボードとひとことに言っても使われ方は建築現場や用途に応じてさまざま。
ここでは、石膏ボードの種類ごとにどのような使い方があるのかの事例をご紹介いたします。
ご自身にぴったりの石膏ボードを見つけてくださいね。
使いやすい素材の「石膏ボード」
石膏を中心にして両面を石膏ボード用の紙で挟み、板状に成型したものです。
住宅、オフィスの天井や部屋の壁など内装材として使用されます。施工しやすい建材で、DIYにも最適です。
防水加工が施されたシージング石膏ボードの場は、水に強く、キッチン・脱衣所にはよく使われます。
耐火性能を備えた「強化石膏ボード」
石膏ボードは水分を含むため耐火性能に優れた建材です。
しかし、さらにガラス繊維を加えて耐火性と耐衝撃性が向上した建材で、耐火ボードとも呼ばれています。
耐火構造、準耐火構造、防火構造の建築物で使用され、建築基準法で防火地域に指定されているところなどで活躍することも多いです。
また、介護老人施設等では原則として耐火構造にする必要性があり、強化石膏ボードも利用されています。
耐震性能を備えた「構造用石膏ボード」
強化石膏ボードの性能を保持したまま、ボード側面の耐震性能を向上させて耐力を強めています。
耐力壁の主要材料として、木造住宅のツーバイフォーや軸組工法などで使用されています。
また、建物の耐震性能を向上させたいときに選ばれる建材の一つです。
幅12.5mmのものが主流です。
下地材として便利な「石膏ラスボード」
石膏に水や砂などを混ぜて作られた石膏プラスターを塗って防火性能をアップさせるとともに乾燥にともなう収縮を防ぎ、亀裂が生じにくい特徴があります。
純白で平滑な表面を演出できるので、屋内の塗り壁の下地として最適です。
一方、水分は多めのため水気の高い場所にはあまり適さないので注意してください。
仕上げ材で利用が多い「化粧石膏ボード」
石膏ボードにあらかじめ化粧加工した紙や、化粧加工した紙やプラスチックシートを張り合わせたもの、塗装、型押し凹凸で加工したボードです。
デザインの種類は多く、新築時よりもDIYでクロスの一部貼替などアクセント的に使用される場合もあります。
ホルムアルデヒドを分解するため、シックハウス症候群の対策にもなります。
まとめ
石膏ボードは種類によって使い分ける必要があります。
水気の多いところで活躍するシージング石膏ボード、耐火性能を備えたいところには強化石膏ボード、ツーバイフォーの木造住宅の壁面には構造用石膏ボード、室内の壁の下地材として石膏ラスボード、シックハウス症候群対策が必要なときに化粧石膏ボードなどがあります。
リサイクルは可能ですが、処分はプロの産廃処理業者に依頼してください。